・高硬度なので機械部品や工具類にめっきを施すことによって、耐摩耗性が著しく
向上します。 また、成型金型類では型離れが良くなり、成型品も美しくなる他、型の
寿命も大きく延びます。 耐食性の面では、化学・食品工業の分野でも活躍し、
大いに利用されています。 自由な厚さでしかも部分めっきができるため、部品補修
や摩耗した部品の再生が可能となるなど、広く産業界の分野で寄与しています。
・硬質クロムめっきの硬さは、電気めっきの中でHv750~900と高い硬度の値を
示し、熱処理鋼・窒化鋼などよりはるかに硬い
ものです。 また、浴温度と電流密度を種々
変化させることにより、Hv600~900の間で
色々な硬さが得られます。 |
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・めっきの硬度が大きいほど摩耗量が少なく
なります。 すなわち、硬さと耐摩耗性は
比例関係にあり、硬さが高いと耐摩耗性も
高くなります。 また、硬質クロムめっきは
潤滑性にも優れ、摩擦相手と凝着しづらく、
めっきが緻密で摩擦係数が低い性質を
持っています。 |
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このように、耐摩耗性はクロムめっきに要求される最も重要な基本的性質であり、
工業上の意義は大きいと言えます。 クロムめっきが施されたものは、窒化鋼より
耐摩耗性が優れており、回転部や摺動部分を持つあらゆる工業製品に利用され、
大きな効果をあげています。 ただし、クロムめっき同士で摺動しますと、逆に
かじり現象が発生し、摩擦を早めることとなりますので注意が必要です。
・薄い膜厚の場合、素地まで通じるクラックが存在しますので、耐食性には期待
できません。 しかしめっき厚が30~50μmになりますと、クラックも完全に塞がり
充分に被覆されますので、優れた耐食性を発揮します。 一方、クロムは塩素
化合物には侵されやすいのですが、その他の化学薬品に対しては安定しています。
また、高温ガス中での酸化についても極めて良好な耐食性を示しています。
このようにクロムめっきは、ほとんどの薬品や高温蒸気に対して強い耐食性を示し、
素地の寿命を大幅に延ばすため、石油化学・食品工業の分野など広く使われて
います。
・一般のめっきは摩擦や加熱で剥離することもありますが、クロムめっきは鉄材料と
ほとんど合金化しており、加熱してもめっきの密着性はまったく影響されません。
これは加熱によって発生する水素の量が関係しており、500℃付近までは硬さの
低下はあまりありません。 また耐摩耗性も300℃付近までは良好です。
熱間引抜工具など多く分野で応用されています。
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